投資家目線で巡るEE東北’25

先週に夢メッセみやぎで開催された建設技術公開、EE東北’25。
各企業の出展内容を書くだけでは面白みが無いため、一個人投資家の目線からの内容も踏まえ、株式を保有している会社を中心にピックアップしていきます。
来場者のほとんどが建設業関係者ですがとても賑わっており、会場、ブースの写真は人が写り過ぎているため頂いた資料を載せていきます。
IHI

様々な事業を展開している重工業メーカーで、最近は航空、防衛事業が好調ですが、建設技術公開ということで水門、RC床版、橋梁に関する技術の出展でした。
内容は停電時の電力供給、開閉操作、点検業務のDX化などの防災、生産性向上分野。
現在自分が保有している中で最大の含み益を出している銘柄で、今回の一番の目的でした。
現時点での株価15,635円、配当利回り0.9%。ここ1年で株価は高騰し上場来高値を更新し続けていますが、この会社の持つポテンシャルはまだまだこんなものではありません。配当金も増配はしていますが株価の上昇とは程遠く、期待して見守っていきます!
アジア航測

航空測量、建設コンサルの会社で、出展内容は三次元情報を利用したDX化が中心でした。
ドローンを使った測量が得意で、登山アプリYAMAPにもアジア航測制作の地図が搭載されており、自分も利用しています。
建設業界でもドローンでの測量、データ作成は今後さらに需要が高まっていくと思います。
現時点での株価1,123円、配当利回り3.9%。増配続きの高配当株で近年のトレンドである国土強靭化の関連銘柄でもあるため、株価が1,000円を切ったあたりでの購入を検討しています。
コマツ(小松製作所)

世界2位の建設機械メーカーで、出展内容は低燃費、ICT施工対応、電動など様々な建設機械の展示でした。
この手の建設機械には魅力を感じ、間違いなく需要はあるのですが、現実は費用面を考慮すると選ばれないことも多く難しいですね。
建設機械のディーゼル→電動化はCO2、騒音削減など環境分野での需要もあり、以前に比べ稼働時間、パワーも上昇し小型の建設機械においてはディーゼルと大差無い性能のようで、特に期待しています。
昔から高配当株としてお馴染みで、為替や海外動向に左右されやすい面はありますがやはり魅力を感じます。
現時点での株価4,478円、配当利回り4.24%。悪くない利回りですが株価は高値圏で値動きも大きく、3,500円を切ったら購入検討といったところです。
ライト工業

法面、地盤改良、薬液注入などの特殊土木工事に強い会社で、出展内容はそれら特殊土木工事のICT施工が中心でした。
現時点での株価2,879円、配当利回り3.72%。近年のトレンドである防災、減災関連の代表的な銘柄で、増収増益、自社株買いなどもあり株価は上場来高値を更新しています。
今年のトランプ関税ショックでもそこまで株価は下がらず割高感があり、買い意識は低めです。
日特建設

上記ライト工業と同じく特殊土木工事に強い会社で、出展内容も同じ方向性でした。
現時点での株価1,043円、配当利回り4.7%。ライト工業ほど株価は上がっておらず、自分は防災、減災関連で密かに注目している銘柄で、株価が1,000円を切ったあたりから徐々に購入を検討していきます。
東急建設

東急グループの中堅ゼネコンで、鉄道工事のイメージを持っていましたが、実際は建築工事の割合がかなり多いです。
出展内容はICT活用による配筋検査、生コン打設の効率化が中心でした。
生コン打設時の締固めは現場の作業員の感覚任せになっていることも多く、ICTを活用した締固め位置、深さの管理は品質向上に直結するため非常に興味深い技術です。
配筋検査の方は対応できるのが現時点ではシングル配筋のみで、今後に期待です。
現時点での株価941円、配当利回り4.14%。現在保有している銘柄です。
直近では株価が上がっていますが、700円台まで下がるタイミングがあれば買ってみるのも良いかもしれません。
インフロニア・ホールディングス

前田建設工業、前田道路、前田製作所などを傘下に持つ持株会社で、他のゼネコンとは大分異なる企業風土を持っていると個人的に思っています。
出展内容はICTを活用した盛土工事、トンネル工事などの効率化、様々な効果を有する舗装材料などでした。
舗装材料の中には施工性の良い補修材がいくつかあり、道路の維持、補修の効率化に役立ちそうでした。近年はインフラ整備の重要性も増しており、今後需要が伸びそうな気がします。
現時点での株価1,195円、配当利回り5.02%。現在保有している銘柄です。
業績はそこまでの伸びは無く、株価も割安水準が続いていますが、未保有の方はポートフォリオのスパイスとして買ってみるのも面白いかもしれません。
ニチレキ

改質アスファルト、乳剤などの舗装材料で国内シェアトップの会社で、出展内容は道路点検のDX化、関連会社の高機能目地材などでした。
この会社には乳剤のイメージしかありませんでしたが、道路工事の施工、点検、診断など総合的に事業展開しています。
構造物は目地、接続部からの劣化因子侵入で劣化することも多く、この部分の高機能化、高耐久化も今後需要が伸びる分野だと思います。
道路は重要なインフラで、維持、補修も含めれば景気に左右されず常に需要があります。上記インフロニア・ホールディングスもそうですが、道路関連会社の株は特にポートフォリオに加えておきたいという想いがあります。
その道路の中で国内シェアトップの分野を持つ会社というのは、非常に魅力的ですね。
現時点での株価は2,426円、配当利回り3.3%。近年は高値圏で推移しており、株価が2,000円を下回ったあたりで購入したいと思っていましたが、中々タイミングがありません。
将来的には必ずポートフォリオに加えたい銘柄です。
エスイー

アンカー、橋梁のケーブルなどを扱う建設資材メーカーで、出展内容は防災、高耐久化、生産性向上につながる自社建設資材などでした。
こういった資材は一般的に存在は知られていませんが、今後のインフラ整備、防災、減災においても重要で、常に需要がある分野です。
現時点での株価は261円、配当利回り4.98%。現在保有している銘柄です。
株価、配当金共にほぼ横ばいではありますが、株価も低く買いやすいため、未保有であれば買ってみるのも面白いかもしれません。
オリエンタル白石

橋梁、基礎工事で高いシェアを持つ建設会社で、出展内容はそれらの維持管理、補修に関する技術が中心でした。
施工後の維持管理も近年は重要な課題となっており、それらを含めた事業展開をしている会社は強いと思います。伊藤忠商事が筆頭株主というのも好印象です。
現時点での株価は362円、配当利回り4.01%。現在保有している銘柄です。
過去の上場廃止の経緯など色々ありますが、上記エスイーと同様株価が低く買いやすいため、さらに下がったタイミングで買ってみるのも面白いと思います。
まとめ
10年ぐらい前の建設業界のトレンドはCO2削減、産業廃棄物抑制などの環境負荷軽減でしたが、現在はその流れを残しつつもDX化、ICT活用、効率化などの生産性向上がメインになってきていますね。
近年の人手不足、高齢化が進む中では当然の流れとも言えますし、むしろ遅いぐらいです。
高品質、高性能がトレンドの中心になるのはまだまだ先になりそうです。
建設業では危機感を持って生産性向上に努めている会社、旧態依然で未だに紙、FAXなどが中心の会社との二極化が進んでいる気がします。後者では10年後、20年後もFAXを使い続けているでしょうし、突発的な災害需要以外で業績の伸びも期待できないと思っています。
人手不足については、これまでが下流側の従事者の低待遇の上で成り立っていた側面もあり、今後も止められないと思っています。特に専門性を持たない中小の総合建設会社は価格転嫁することも難しく、かなり厳しいと思います。
上記を踏まえ、投資家目線で自分が魅力を感じる建設会社というのは、
- 防災、減災、インフラ整備など近年のトレンドに携わる業務内容の会社
- DX化、ICTの活用、社内業務の効率化などの生産性向上に努めている会社
- 道路、橋梁、法面、鉄道など特定の分野で高い専門性を持つ会社
になってきます。
まだまだ課題の多い建設業ではありますが、社会のために必要不可欠な業界であり、しっかりと会社を選別し一定割合でポートフォリオに加えていきたいと思います。